運動が健康に及ぼす影響については、いろいろな意見があります。

医学の租と言われた古代ギリシャのヒポクラテスは、「運動は寿命を縮める」と言っています。

この考えを科学的に言えば、運動すると酸素の吸入量が増えて活性酸素が多くなるので、

その毒で細胞が傷つきやすくなる、ということです。

実際、ある国立大学の男子卒業生約3000人のうち、文科系と理科系、体育系に分けて調査した結果、

体育系の人たちの平均寿命は文科系に比べて6.2歳、理科系に比べて5.5歳短かったそうです。

ただし、体育系と言っても運動の程度はさまざまだし、卒業後にどんな生活をしていたかは分かりません。

だからこの結果だけから、運動は体に悪いとは言えないでしょう。

逆に、運動は健康に良いという研究は数多くあります。

欧米などのいくつかの調査では、運動をしていた人の寿命は、あまりしていない人と比べて長くなっているようです。

運動は筋肉量や骨量を維持するので、寝たきりになるリスクを減らします。

また心肺機能を高めるので、全身の血液循環を良くし、心臓病を減らす効果もありますし、

HDL（善玉）コレステロールを増やすと言われています。

その他、運動の効果で忘れてならないのは、認知症の予防になると言うことです。

体を動かすことは脳を使うことになるからです。

ただし、運動のしすぎは活性酸素を増やすことにもつながります。

若い時はSODという活性酸素の毒を消去する酵素がたくさん出るのですが、

歳をとってくると、その酵素はあまり出なくなります。

だから結論を言いますと、運動は健康にとってとても大事な要素ですが、

自分の年齢を考慮し、無理のない適度な運動を心がけましょう。