気功サロン推薦図書（36）
　　「植物の不思議な力＝フィトンチッド」　B・ｐ・トーキン著

　内気功には、自分の体の中に気を取り入れる「採気法」というのがあります。太陽や大地から取り入れることもありますが、よく使われるのが植物から採気することです。
　森林浴が健康に良いと言われますが、その理由は二つあると私は思っています。一つは、植物は二酸化炭素を吸って酸素を吐きだすので、樹木の多い山林の空気は酸素濃度の高い新鮮な空気であるため、そこで呼吸することは健康にとても良いこと。
　もう一つは、樹木がだしているフィトンチッドを自然と吸い込むからだと思っています。
　フィトンチッドとは植物の出している揮発性の芳香物で、害虫から自分の身を守ったり、植物どおしでコミュニケーションするのに使われているようです。
　建築材にホワイトウッドという製材にするときれいな木があります。正式名は欧州トウヒというのですが、この木は家の土台には使うなと言われています。なぜならシロアリに弱いからです。
　日本の土壌にはシロアリがいるため、そこで育った木（国産材）はシロアリの害から身を守るためフィトンチッドを出していると思われます。だからシロアリに強いのです。たぶん欧州トウヒの育つ環境にはシロアリがいないのではないでしょうか。
　また、青森県はヒバで有名ですが、ヒバが放つ香（フィトンチッド）は防虫効果があるようです。総ヒバで造った家には蚊がよりつかないと言います。
　ヒノキチオールはヒノキの芳香物ですが、化粧品や入浴剤、育毛剤にも入っている製品があります。
　また植物どおしのコミュニケーションの例では、毛虫に葉を食べられた植物は、となりにいる同類の植物にフィトンチッドで危険を知らせ、苦味の物質を出して毛虫を寄せ付けないようにするのです。
　逆に仲の悪い植物もいて、フィトンチッドで相手を攻撃するそうです。ライラックとスズランは憎み合っていて、ライラックの花は単独でいるよりも、スズランのそばにいると早く枯れてしまうのです。スズランとスイセンも、一つの花瓶に一緒にすると、たちまち枯れてしまうそうです。
　植物は私たち動物とは、生態や生き方がだいぶ違っています。脳や神経はありませんが、それに代わる何かを持っているのでしょうか。