気功サロン推薦図書（39）
　　「人を幸せにする魂と遺伝子の法則」　村上和雄著

　普通私たちは、生きていることを当たり前と感じています。朝に目覚め、食べて、活動し、休息するーーーこれが当然のように感じられるため、そこに生命の驚異を感じることはありません。
　しかし体内では、驚くべき生理現象が起き、日々、私たちの命を支えているのです。
　人体は約60兆個の細胞でできています。この数はピンときませんが、地球上の全人口の約1万倍近くにもなる多さなのです。
　これらの細胞はみな生きていて、骨から筋肉、皮膚、内臓、血管、神経など体を構成しているのです。これらが相互作用しながら、体全体のシステムを構築しているわけです。
　私たちの体は、1日で約40億の細胞が死に、また生まれています。皮膚は数週間で入れ替わり、体全体では1年で98％が入れ替わっているのです。でも私という存在自体は変わりません。
　このメカニズムは遺伝子の指示によってなされているのです。人体は一つの小宇宙と言いますが、生命維持のために、体内ではさまざまな部門で細胞が遺伝子の指示通りに働いているのです。それは見事というか、驚異的でもあります。
　これらの遺伝子は両親から受け継いだもので、それぞれ特徴があり、それが顔立ちや体格、性格、感受性、特定の病気の罹りやすさなど、各人を特徴づけているわけです。
　ただしこの遺伝子の特徴は絶対的なものではありません。近年明らかになったエピジェネティックスの理論によると、各遺伝子にはそれを発現させるスイッチがついていて、それがONになってはじめて発現するというのです。そしてその発現要因は、その人のまわりの環境であり、また本人の考え方によるところが大きいというのです。
　本書は私たちを勇気づけてくれます。なぜなら、ある遺伝子の存在がすべてを決めるわけではなく、その後の過ごし方に大きく左右されるからです。積極的で笑いのある人生が、たとえ負の遺伝子があったとしても、それを発現させず、幸せをつかむことができるからです。