気功サロン推薦図書（41）
　　「細胞の意思」　団まりな著

　著者の団まりな氏は階層生物学研究ラボ責任研究者という肩書を持っていますが、専門家として特異な意見を持っているようです。それは一つ一つの細胞は人間と同じく意思を持っているというのです。
　この考えは一見、非科学的に思われますが、細胞のふるまいを専門的に研究すると、このような擬人的な見方も的を射ているように感じます。

　私たちの体は骨から筋肉、各内臓、皮膚、脳、血管、神経、髪の毛に至るまで、すべて細胞でできています。この場合は、一つ一つの細胞が生きているというよりも、各組織を構成することでその役割を果たし、各組織が活動する状態に関与するだけ、という印象を持ってしまいます。
　しかし、アメーバやゾウリムシなど単細胞で生きている生物がいるように、一つ一つの細胞はそれだけで生き、活動しているのが分かります。
　実は、組織の構成要素としての細胞ではなく、単独で活動している細胞も体内には数多く存在しているのです。
　たとえば免疫細胞を見てみましょう。マクロファージは貪食細胞とも言われ、体内に入り込んだ異物を察知し、それを食べてしまいます。その他、顆粒球やリンパ球なども、細菌やウィルスを退治するために、常に体内をパトロールしているわけです。
　ＮＫ細胞は主にがん細胞を活性酸素の毒を使って殺してしまいます。
　また生殖細胞と言いますが、精子は自身にとって最悪の膣内酸性状態をもろともせず、一心不乱に卵子に向かって泳いでいきます。
　このような免疫細胞や生殖細胞の動きや働きを見ていると、それぞれが独自に意思を持っている、と感じられるのです。