気功サロン推薦図書（58）
　　「ありがとう　おかげさま」　下村満子編

　本書「ありがとう　おかげさま」は6名の著者により編集されたものです。各界1流の方たちが指南役となり、いのちとか生き方について論じています。
　6名は稲森和夫、村上和雄、渥美和彦、米沢富美子、中森じゅあん、下村満子の各氏で、経営や医学、物理学、哲学等により「いのち」や「生き方」について示唆に富んだ話をしてくれています。
　この中で、特に私が印象に残った話がありますので、皆様方にお伝えしたいと思います。それは遺伝子学者の村上和雄氏の話でした。
　氏はチベット仏教の指導者のダライ・ラマと「科学と宗教」というテーマで長時間対話をしたことがあるそうです。
　そこで氏はダライ・ラマに対し、次のような厳しい質問をしたそうです。「仏典の中にある個所が、今の現代科学から見て、どう考えてもおかしいという時にはどうしますか？」と。その質問に対してダライ・ラマはどう答えたかーーーその答えに村上和雄はびっくりし、また感動を覚えたそうです。
　ダライ・ラマはこう言ったのです。「その場合は仏典のほうを変えることを検討します」と。さらに「仏典はブッダが直接書かれたものではありません。弟子が書いたものです。仏典は確かに素晴らしいものですが、2千年も以前に書かれたもので1点の間違いもないということはありえません。自分も、読んでいておかしいところがあると思っています」と。
　う～ん、私もこの話を読んで、とても感動致しました。ダライ・ラマはチベット仏教の最高指導者ですよ。その彼がこんな柔軟な考えを持っているとは。科学は日進月歩で進化しています。だから昔は正しいと思われていたことが、今は間違いということも数多くあるわけです。中世の頃は、宇宙の中心は地球であり、天が地球のまわりをまわっているという天動説が正しいとされてきました。現代は天動説を言う人はいません。地動説が正しいと証明されているからです。
　全世界の宗教指導者がダライ・ラマのように柔軟な思考の持ち主なら、宗教戦争は起きていないだろうと私は思っています。自分の宗教は絶対的に正しい、だからそれと違う宗教の教義は間違っているーーーこのような偏狭な思考が争いの元になるのです。
　ダライ・ラマは威張るということが全くない方だそうです。本当に強い人というのは、人に優しい人なんだと私は思っています。