気功サロン推薦図書（61）
　　「遺伝子は変えられる」　シャロン・モアレム著

　遺伝子学者で医師のシャロン・モアレムが書いた本書は、エピジェネティクスの実例を網羅した良書です。
　エピジェネティクスとは遺伝学における比較的新しい考え方です。私たちの顔や体型、仕草をはじめ、能力や感受性、性格などの精神面、また特定の病気への罹りやすさなどは遺伝の支配を受けています。
　しかしそれは100％ではありません。「遺伝＝運命」という考え方はもう古いのです。なぜなら、最近の研究で、何かの遺伝子を持っていたとしても、そこには遺伝子を発現させるスイッチがついていて、そのスイッチをＯＮにして初めてその遺伝子の特徴が現れるからです。そして遺伝子のスイッチは生活環境や考え方などによって左右されるのです。これがエピジェネティクスの考え方です。
　さて本書では、ある遺伝子が欠損していたり、遺伝子の型の違いにより、同じ生活環境たとえば取り入れる食品が同じであっても、体への影響が違ってくるという実例を挙げています。
　たとえば乳糖不耐症と言って、アジア人に多いのですが、牛乳を飲むと下痢してしまう人たちがいます。これも乳糖を分解する酵素が遺伝的に欠損しているからなのです。
　またこんな例も挙げています。ビタミンＥは抗酸化物質として有名で、葉物野菜をはじめ、ナッツ類、アプリコット、タロ芋などに多く含まれていますが、それをサプリメントの形で取ると問題が起きる場合があるのです。
　サプリメントでのビタミンＥは天然のものではなく、化学工場で人工的につくられたものです。実はビタミンＥには天然物と人工物の二つの型があって、人工物のビタミンＥを体に取り入れると天然物のビタミンＥの作用を弱めてしまうというのです。
　う～ん、人にもよると思いますが、これではせっかく取ったビタミンが逆効果になりかねませんね。
　私事で恐縮ですが、以前私はあるサプリメントの会社からビタミンＣのサプリをいただいて飲んだことがあります。
　飲んですぐ異変に気づきました。なんとおしっこの色が黄色くなったのです。尿が濃くなると黄色味が増すのは知っていましたが、そのような黄色ではなく、もっと鮮やかな黄色なのです。もしかしたら体に良くないことが起きているのかも知れないと思い、すぐサプリを飲むのをやめました。
　私たちはみな、違う遺伝子を持っていますので、薬やサプリメント、食品、運動などの生活習慣に至るまで、紋切型に考えるのではなく、人それぞれに合ったものがあると考える必要があるでしょう。