気功サロン推薦図書（79）
　　「すぐ忘れる男、決して忘れない女」　マリアン・レガト著

　男と女という性の違いに配慮した性差医療の必要性を主張している著者が、心理学的な面でも、性による違いを言及したのが本書です。
　副題の「男と女はなぜケンカが絶えないのか？」という疑問に対し、男女の脳や生理学的な違いを解説しています。

　男はすぐ忘れるが女はなかなか忘れないーーー本書のタイトルの疑問は脳の性差で説明ができます。
　女性の脳は男性のそれよりも血流が多い場所がいくつかあり、言語を司る領域もその一つです。話や単語のリストを男女の被験者に見せて、どのくらい覚えているかの実験では、明らかに女性のほうが成績がいいようです。
　さらに女性ホルモンのエストロゲンの影響もあるようです。エストロゲンは脳の神経細胞を活性化し、脳の特定箇所の血流を増加させるのです。
　また女性は男性よりもストレスの原因となる出来事を覚えているそうです。その理由は、感情を乱す出来事があった時、女性はエストロゲンの影響により広い範囲の神経細胞が活性化され、ストレスを強く感じるだけでなく、副腎からコルチゾールというストレスホルモンを長く分泌するのです。
　これにより過去の不快な出来事を思い出すだけで、当時の悲しみの感情をよみがえらせるのです。
　これは進化論の観点からも説明がつきます。子育てをする過程で、女性はどの植物が毒を持っているとか、危険な動物の縄張りなどを記憶する必要があるからでしょう。
　男性の脳が女性に比べてこの点で劣っているのも進化論から説明ができそうです。危険に対していつも過剰に反応していたら、狩りで大きな動物に勇敢に立ち向かうことはできないからです。
　男性と女性は脳や身体の違いが元からあるので、この点を男女とも考慮することで、よけいな争いを回避することができるのではないでしょうか。