気功サロン推薦図書（81）
　　「脳はバカ　腸はかしこい」　藤田紘一郎著

　2000年代になって言われた言葉があります。「脳腸相関」です。
　脳と腸には相関関係があり、腸が良い状態なら脳の状態も良くなり、またその逆もある、という関係です。
　たとえば、うつ病という病気があります。日本人はとても多いそうですが、セロトニンという神経伝達物質が減っていることに起因している、という説があります。
　セロトニンは幸せホルモンとも言われ、精神を安定し、意欲を掻き立て、幸福感をもたらすのです。うつ病で自殺した人の脳を解剖したところ、このセロトニンが減っていることが分かったそうです。
　だから現在の病院のい精神科では、うつ病患者に対して、セロトニンを増やす薬を処方するわけですね。
　さてこのセロトニンは、その8～9割は腸管でつくられているのです。そして私たちの腸に住んでいる腸内細菌の働きのお陰なのです。だから腸内環境が良好だとセロトニンも多くつくられ、脳にも良い状態をもたらすわけです。セロトニン同様、意欲と快感をもたらすドーパミンもその多くは腸でつくられているのです。
　また腸には脳と同じように神経細胞があるのです。私たちは脳が司令塔で、日々の生理現象をコントロールしていると思いがちですが、実はそうではなく、腸が独自に判断し、人体の様々な働きを助けているのです。
　たとえば、私たちが毒のある物や細菌に汚染された食べ物を食べた時、下痢や嘔吐によってそれらを排出しますが、これらは脳からの指令ではなく、腸が判断して行っているのです。
　また著者によれば、脳はバカなので甘い食べ物など、その時の誘惑に負けて、つい食べ過ぎてしまいますが、腸はそれが身体にとって有益なのかを判断してくれるそうです。
　私たちの健康を考えた時、まず腸内環境を整えることが第一なのかも知れません。そのためには腸内の善玉菌を増やすべく、ヨーグルトや納豆などの発酵食品の他、食物繊維の多い食品をとることを心がけましょう。