舌はいろいろな機能を持つ

　私たちの器官は、それぞれ一つの役割りを持っていると思いがちですが、実はいくつかの機能を併せ持っている場合があります。

　たとえば耳は音を聞くだけではありません。平衡感覚を保つという重要な働きもあるわけです。

　鼻もにおいをかぐだけでなく、呼吸するのに重要な役割りを持っています。口でも呼吸はできますが、口呼吸をすると健康にとってマイナス面がたくさん出てくるのです。風邪をひきやすくなるし、歯周病や口臭を起こしやすくなるのです。

　また舌は味を感じる味覚の中心ですが、実はそれだけではありません。咀嚼と嚥下という重要な働きもしているのです。

　咀嚼とは歯でくだいた食べ物を唾液と混ぜ合わせることです。また嚥下とは、唾液と混ぜ合わせた食べ物を飲み込む動作のことです。これらに舌は大きくかかわっているのです。

　その他、舌は発音にも大きく関与しています。あいうえお、かきくけこ、と次々発音していけば分かることですが、それぞれの音に合わせ、舌が上あごについたり、前歯の裏についたり、また中ほどに浮かんだり、それぞれの発音に合わせて舌がいろいろ動いているのがわかります。舌癌などで舌を損傷した人が、うまく発音できないケースを目にしますが、舌の隠れた役割りがここにあるのですね。