遺伝的な病気が生命に有利になる時
2024/09/20
進化というのは、その環境に上手に適応できたものが生き残り、適応できなかったものが淘汰されるという自然選択説を唱えたのがダーウィンでした。
赤道近くの紫外線の強い地域に住む住人の肌は黒く、北極など紫外線の弱い地域に住む人の肌は白い、というのもそうだし、南太平洋の島々の人たちが太りやすい体質を持っているというのも、環境に適した結果といえるでしょう。
このように環境に適した身体に変化するというのは遺伝子によるのですが、病気についても遺伝子が強く関与している場合があるのです。いわゆる遺伝病です。この遺伝病が逆に環境に適応し、生命に有利になる場合があるのです。
鎌状赤血球症は、ある遺伝子の変異によって、通常は円盤型をした赤血球が三日月形になってしまうという病気です。三日月形の赤血球は壊れやすいので貧血になりやすくなります。また毛細血管に詰まって、臓器にさまざまな悪影響をもたらすのです。
この病気は地域的な特性があり、アフリカの熱帯地域の人々の約30%がこの遺伝子を保有していると言います。日本人やその他の地域の人々にはほとんどないのに、どうしてこの地域だけ多いのでしょうか。それはこの地域に多いマラリアという病気と関係しているのです。
マラリアはマラリア原虫が原因の感染症ですが、この虫は赤血球に寄生して成長し、高熱や下痢などを引き起こすのです。また脳や腎臓を侵して重篤な症状を引き起こし、死に至らしめることも多い病気です。
ところが鎌状赤血球は壊れやすいため、マラリア原虫が増殖できなくなり、結果としてマラリアの予防になるわけです。う~ん、なにかとても深い話ですね。
毒をもって毒を制する、という言葉がありますが、この場合、鎌状赤血球症という比較的軽い病気が、マラリアという重い病気を予防しているわけです。
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