私たち人類は、体の大きさと比較して大変大きな脳を持っています。

ただ脳だけの重量を比較するならば、ゾウやクジラなど人間よりも重い脳を持った動物はいます。

しかし、脳のシワの多さなどの機能面を考えれば、この地球上で人類より優れた脳を持ったものはいません。

だから人類の数は少ないけれど、全生物に対し支配的な地位を占めているのも事実でしょう。

 

さて、脳は体全体に対する司令塔だと考えられてきました。

というのは、感覚神経や運動神経、自律神経なども全部脳から発しているからです。

視覚や聴覚、触覚、味覚など、それぞれの部分で受け取った刺激は、神経を伝わって信号が脳に行き、

脳で見たり、聞いたりという感覚を生み出すことができるのです。

また各筋肉に指令して、思うような動きをすることもできるし、

また体を一定状態に保つ役目も、脳から自律神経を通じて行なっています。

 

しかし最近の研究によりますと、脳が指令のすべてを行なっているのではないことが分かってきました。

腸や腎臓などの内臓はもちろん、筋肉や脂肪、骨なども体の異常を察知すると、

その部分特有の伝達物質を生み出し、脳を経由せずに、担当の体の部分に情報を提供しているというのです。

まあ脳が体の司令塔として重要な役割をしているのは事実ですが、

人体（他の動物も含め）は、もっと複雑なネットワークで構成されているのです。