老化によって髪の毛が薄くなるのは仕方のないことですが、

基本的にはヒトの頭には大量の毛がはえています。

なぜヒトの頭部には、こんなに毛がはえているのでしょうか？

髪の毛を染めたり、ヘアースタイルを楽しむといったファッション的自己主張の美容面での効果の話は、ここでは省略し、

純粋に生物学的に頭髪の役目を考えてみましょう。

太古の昔、人類は四つ足で歩く動物から二足歩行へと進化し、立ち上がりました。

立ち上がったことで、頭は一番高いところに位置したわけです。

頭は脳という最も大切な器官を収める場所ですから、

そこが一番高いところにあるということは、上からの衝撃を受けやすいリスクがあるわけです。

目は顔の前方にあるので、真上は見えません。

大切な脳は柔軟なクッションと硬いヘルメットで守られています。

頭髪は多少なりとも、上からの衝撃を緩和する役目を持っています。

頭髪を持った皮膚で衝撃を和らげ、硬い頭蓋骨で衝撃をブロックします。

頭蓋骨の下には硬膜とクモ膜があり、その下の軟膜の間のクモ膜下腔には髄液があり、

脳への衝撃を和らげているのです。

このように頭部はいくつもの対策で、脳への衝撃を和らげています。

また髪の毛は帽子の代わりにもなっています。

紫外線や寒さ暑さといった気候の変化にも対応してくれるのです。

マイナス何十度という極寒のシベリアの地を体験した人の話では、

帽子がないと、頭が痛くなって外では10分もいられないそうです。

それが防寒の帽子をかぶっていると1時間でもいられるということです。

頭髪は帽子ほどの効果はないにしても、紫外線や極端な気温から私たちを守ってくれるのです。