気功サロン推薦図書（20）
　　「迷惑な進化」　シャロン・モアレム著

　この地球上には、動物や植物をはじめ、細菌などの微生物を含めると、膨大な種類と数の生物が存在しています。
　こんなに生物のあふれた星は、この大宇宙には地球以外にもあるでしょうが、そんなに多くはないと思います。地球は生物が生きていくのに必要な要件が満たされているのです。
　さて、私たちを含め、いろいろな生物が生き残るために進化してきました。
　本書では一つの生物種が単独で生き残る（進化する）ことはなく、人間も動物も植物もウィルスも、すべてともに進化していると説いています。
　私が本書を読んで面白いと思ったのは、寄生生物に関する記述です。
　トキソプラズマという寄生原虫がいます。この小さな虫は通常は無性生殖をするのですが、ネコの体内では有性生殖をし、新しい胞子嚢を生み出し、子孫を作り出し、広めていくことができるのです。
　そのためには別のネコに感染する必要があるのですが、その戦略が実に面白いのです。
　ネコはネズミを捕って食べる習性があります。そこでトキソプラズマはまずネズミに感染します。するとネズミの体内でこの寄生虫は血流に乗って脳に行きます。ここでネズミの脳を操作するというのです。
　トキソプラズマに感染したネズミは、なんとネコを恐れなくなるというのです。それどころか、ネコの尿や糞を好むようになり、それに引き寄せられるのです。
　その結果どうなるか？　ネコは簡単にそのネズミを捕食し、トキソプラズマはめでたくネコの体内に寄生できるというわけです。
　う～ん、こんな小さな原虫でも、子孫を増やすために、このようなみごとな戦略を持っているとは驚きです。
　進化って奥深いですね。