気功サロン推薦図書（22）
　　「進化論を楽しむ本」　中原英臣、佐川峻共著

　約38億年前と言われていますが、この地球上に最初の生物（原始的な単細胞生物）が誕生してから、どのように現在の生物体系ができてきたのかーーーこの進化の謎はいまだ科学的に解明されていません。
　ダーウィンの進化論は有名ですが、まだ他に多くの進化論があります。聖書の創世記に記述してある「神による創造説」はあまりに宗教的なので、ここでは扱いませんが、断続平衡説とか連続共生説、中立進化説、今西進化論など、まだ他に多くの進化論があるようです。
　本書はさまざまな観点から、進化の謎を分かりやすく解説しています。
　さて、私が本書を読んで面白いと思ったのは、キリンの首はなぜ長くなったのか、という疑問に対する説明です。
　ダーウィンの進化論によれば、適者生存の考えから、キリンの首は最初は短かったが、木の上の果物を食べるため、比較的首の長いキリンが生きるのに有利だった。そこで長い年月をかけて、次第にキリンの首は徐々に長く進化したというのです。
　それに対し、本書の著者たちは異をとなえます。もし、キリンの首が長い年月をかけて徐々に長くなったのであれば、現在のような長さになるまでの途中の首の長さのキリンの化石があってもよいはずである。でも、そんな中途半端な首のキリンの化石はいまだ見つかっていないのです。
　そこで著者たちは、新たに「ウィルス進化説」をとなえます。ウィルス進化説とは、キリンの首は徐々に長くなったのではなく、ウィルスによって他の生物の遺伝子が入り込み、突然変異を起こして首の長いキリンが突然生まれた、というのです。
　そしてこのようなウィルスによる遺伝子の水平移動が起こった場合、その形質は子孫に伝えられるというのです。
　う～ん、中途半端な首の長さのキリンの化石がどこかにあるが、たまたま見つからないだけなのか、それともウィルス進化説が正しいのか、興味のつきないところです。