気功サロン推薦図書（30）
　　「たまたま」　レナード・ムロディナウ著

　私たちの人生において、思いがけない出来事に遭遇し、幸福の扉が開いたり、逆に不幸のどん底におとされたり、といったことが起こることがあります。
　そんな時、その出来事はなぜ起こったのか、その原因を知りたくなるものです。因果関係といって、物事の結果には必ず原因があるーーーそのような思考回路を私たちは持っているのではないでしょうか。
　もちろん、そのような例はたくさんあるでしょう。しかし100％なのでしょうか。物事は必然で起こるのでしょうか。偶然ということはないのでしょうか。
　本書は、たまたま偶然でも起こりうることを科学的に検証しています。必然と偶然ーーー世の中の出来事は100％このどちらかである、とは言えないはずです。100か０か、白か黒かーーーこのような二者択一的な見方では真実を見極めることはできないと私は思います。

　さて、本書にはとても興味のある面白いクイズが記載されていますので、ちょっと紹介させていただきます。
　アメリカでは、「マリリンに聞け」という新聞コラムがあります。マリリンとはマリリン・ヴォス・サヴァントという女性で、世界最高のIQ（228）の持ち主として「ギネス世界記録」に認定された方です。
　マリリンがとても有名になったのは、テレビのあるクイズ番組での彼女の解答でした。
　（その詳細は以下のようです。わかりやすいように少し私が脚色しました）

　テレビのゲーム番組で、回答者の前には三つのドアがあります。一つのドアの後ろには高級車が置かれています。あとの二つのドアにはリンゴ一個が置いてあります。
　さて、回答者が一つのドアを選択したあと、すべてのドアの後ろに何があるかを知っている司会者が、選ばれなかった二つのドアのうちの一つ（この後ろにはリンゴ一個がある）を開けます。
　そして回答者にこう言うのです。「最初に選択したドアを変更しますか？」ーーー最初の選択を変えることは回答者にとって得策なのでしょうか？

　目の前にドアが二つあって、どちらを選ぼうと50％の確率は変わらないはずです。でもマリリンは選択を変えたこうが良い、と答えたのです。
　これに対し、何人もの数学の専門家から、マリリンは間違っていると指摘があったそうです。ばかばかしい、どのように選択を変えようと、50％の確率は変わらないと。
　しかし、よ～く考えればわかることですが、マリリンは正しかったのです。これわかるでしょうか？