気功サロン推薦図書（45）
　　「遺伝子が解く愛と性のなぜ」　竹内久美子著

　動物行動学者の竹内久美子氏の本は、たぶん10冊近く読んでいます。決して専門的にならず、平易な文章で分かりやすいので、一般の人々にも理解しやすいと思います。
　その中でも本書は、人間の愛や性にまつわる浮気や婚姻形態、繁殖戦略、出産、誕生等について、動物行動の視点から、言い換えれば、倫理や宗教などの社会的視点ではなく論じていますので、私にとってはとても興味深く熟読できた本です。
　しょせん人間も動物なのですから、いくら社会的観点からその行動の是非を論じても、なにか本質からはずれていると感じるのは私だけではないでしょう。

　さて、本書において私も知らなかったことについて説明してある章がありますので、ここに紹介します。
　それは「人間のペニスに骨がないのは？」という題の文章です。私はこの本を読むまで知らなかったのですが、人間以外のいろいろな動物のオスの陰茎には骨があるというのです。
　イヌにもネコにも、ライオン、キツネ、ネズミ、クマ、タヌキ、カワウソ、アザラシ、コウモリ、ゴリラ、チンパンジー、オランウータンにも、そのペニスには骨があるというのです。これを陰茎骨と言います。
　この謎について、仏教学者のひろさちやさんは、こんなジョークを言っているそうです。「神はアダムの肋骨からイヴを作ったとされているが、実はそうではない。もしそうなら、男の肋骨は女より1本少ないはずだ。イヴはアダムの陰茎骨からつくられたのだ。だから男のオチンチンには骨がない」ーーーう～ん、なるほど。
　ジョークではなく、もっと真面目な説もあります。それはハンディキャップ戦略と言われるもので、オスのクジャクはメスを引きつけるために、あんなに立派な羽根をつけています。でもあんなに大きな目立つ羽根は、逆に捕食者からも目立つわけで、とても危険なのです。
　この戦略は、こんなに危険な状態でも生きのびるだけの強い遺伝子を持っている、とメスに訴えることができるのです。う～ん、ハンディ（マイナス）を見方によってはプラスに転じられるわけですね。
　人間の男に陰茎骨がないのは、いざという時でも、ちゃんとエレクトできる健康体ですよ、と女性に訴えられるからではないでしょうか。