気功サロン推薦図書（57）
　　「99％は遺伝子でわかる」　ティム・スペクター著

　昔から、生まれか育ちか、別の言い方をすれば、遺伝か環境か、という議論が盛んになされてきました。
　もちろん、ある例外を除けば、100％どちらかの影響で決まるということはありません。背の高さや肥満のなりやすさ等の体形、音楽や絵画などの芸術的才能、頭の良さ、性格、体質、ある特定の病気になる度合いなど、さまざまな面において、遺伝と環境の両方からの影響を受けています。
　これらの点は今まで盛んに議論されたテーマですが、本書ではもっと広く、私たちの社会的な行動面でも遺伝の影響が少なからずあると主張しています。たとえば浮気とか嫉妬、同性愛、離婚などもそうです。離婚遺伝子なるものがあるかどうか分かりませんが、親や兄弟に離婚経験があると、本人もその傾向が出ることはよくあるようです。
　上記の中でも、遺伝からの影響が強いものと、環境からの影響が強いものがありますが、この二つのことは常に頭に置いていたほうがいいでしょう。
なぜなら、一方的になると真実を見失う結果になるからです。
　たとえば、不登校の子供がいた時、そうなったのは親の育て方が悪いからと一方的に決めつけることはできません。何らかの遺伝の影響も考えられるからです。
　病気に関しても、ハンチントン舞踏病とか血友病のように、病気そのものが遺伝する場合もありますが、その多くは、その病気になりやすい体質が遺伝するのです。
　がんの場合でも、遺伝と環境（生活習慣）の両方から検討しなければなりません。ただしがんの中でも、遺伝性の強いがんがあります。乳がんや卵巣がん、大腸がんなどです。これらのがんに罹った人が身内や親戚にいた場合は、生活習慣に注意する必要があるでしょう。