誤嚥性肺炎を防ぐには・・・

　2021年の統計によりますと、日本人の死因の第1位はがん、2位は心臓病で、ここ数十年も変わりません。第3位は老衰でこれは新たに順位に入ってきました。4位は肺炎、5位は脳血管障害となっています。

　この結果は日本が高齢化社会になってきた反映でしょう。老衰と肺炎が増えてきたからです。

　さて、死因の肺炎ですが、この疾患の半分以上は誤嚥によるものです。誤嚥性肺炎と言われるものです。

　人間の体はのどから下に向かい、空気の通り道である気管支と飲食物の通り道である食道が前後に並んでいます。そして空気と飲食物がそれぞれ間違った道に入り込まないようなシステムができているのです。

　のどのあたりには喉頭蓋というフタがあって、飲食物を飲み込む時は気管支に入らないようフタが閉められるわけです。実際、ツバを飲み込む時、グっと息がつまる感じがするでしょう。つまりこの時は呼吸ができないような仕組みになっているのです。

　しかしこの仕組みは複雑で、いろいろな神経や筋肉の相互作用で成り立っていますので、年齢とともにこの機能が衰えてきますと、飲食物の一部が間違って気管支のほうへ入ってしまうことがあるわけです。そして入った物によって炎症が起きるーーーこれが誤嚥性肺炎です。

　誤嚥性肺炎を防ぐには、とにかく急いで物を飲み込まないことが大切です。また大量の物を一気に食べることも危険です。その他大事なことは、よく噛んで食べることです。よく噛むことで唾液の分泌が促され、スムーズに飲食物が食道のほうに入っていけるからです。