健康にはバランスが大切

　健康になるためには、いくつかの重要な要素があります。私はそれが4つあると思っています。食事と睡眠、そして運動。あとはストレスをためないなど心の状態です。これらはみな大切な要素なのですが、実はそのバランスを取ることがとても重要なのです。今回は運動にしぼって、それを考えてみましょう。

　運動は心肺機能を向上させ、骨や筋肉を保持します。また血液の循環を良くするので、健康にはとても大切な要素です。これらは肉体面ですが、実は運動が重要だと言うのは脳への健康効果についてなのです。運動自体が脳を使うので、とても効果的な認知症予防になるのです。

　ただ、何事もそうですが、やりすぎはマイナス面もあることを知っておく必要があるでしょう。重要なのはバランスなのです。運動は活性酸素の原因になるからです。

　動物実験ですが、イエバエを広いかごの中で自由に運動できる状態で飼育した場合の平均寿命が16日だったのに対し、運動を制限して小さなビンの中で飼育した場合、38日と2倍以上長生きだったそうです。

　もちろん、ハエは昆虫だし、ヒトは脊椎動物の哺乳類に属するわけで、進化の樹から言ってもだいぶ違うので、どの程度参考にしたらよいかわかりません。ただ運動によって生じた活性酸素が寿命を早めたことは事実でしょう。

　ヒトの場合、若いうちは活性酸素の毒を消去するSODという酵素が潤沢に出るので、運動のやりすぎの弊害はさほど多くないと思います、しかし年齢を重ねればSODの活性が悪くなるので、やはり健康のためには年齢に応じた適度な運動が大切なのでしょう。