血管系とリンパ系ーーー身体をめぐる液体組織

　私たちの身体は、血管系とリンパ系という二つの液体で張り巡らされています。血管系は人体を構成する各細胞に酸素や栄養物を運び込んでいます。肉眼では見えない毛細血管までつなぎ合わせると、なんと10万キロにもなると言われています。一人の身体の中で、地球を二回り半もする長さのものがあるというのは驚きですね。

　さて、血管と同じように、私たちの身体には動脈や静脈に沿ってリンパ管が張り巡らされています。血管とリンパ管は別の組織ですが、お互いに交流しているのです。

　リンパ管にはリンパ液という透明な液体が流れています。リンパ系の働きは、細胞間に捨てられたクズや死んだ細胞、死んだ細菌などを運ぶことです。また病原体の感染を防ぐ役目も持っています。

　リンパ管にはところどころリンパ節があり、ここでリンパ管を流れる病原体や毒素を取り除いているのです。つまり、感染が全身に広がらないよう、関所の役目もしているわけです。

　人体は小宇宙と言われますが、肉眼では見えないミクロの世界で、健康を維持できるよう、さまざまな組織が連携を保ちながら大きなネットワークを作っているのです。