呼吸は筋肉運動だ

　私たちは呼吸しないと生きていけません。だからその中心をになう臓器の肺は、心臓と同様、胸と背中を鳥かごのように囲っている肋骨の中で守られているのです。

　さて、この肺は空気の出し入れで、多少膨れたり縮んだりしているのですが、肺自体にこの機能があるわけではありません。肺は心臓や胃のように、自身の筋肉で動いているわけではないのです。

　肺は風船のようなもので、横隔膜という筋肉を上げ下げしたり（腹式呼吸）、肋間筋などによって胸郭を広げたり（胸式呼吸）することにより、肺に空気が入ったり出たりしているのです。つまり気圧の変化で呼吸ができているわけで、その元になっているのは筋肉の運動なのです。

　だから筋萎縮性側索硬化症で全身の筋肉が動かせなくなる（宇宙物理学者のホーキング博士もかかった）と、歩行ができなくなるだけでなく、呼吸ができなくなるのです。この場合、生命を維持するために人工呼吸器を装着しなければならなくなるわけです。