ある心理学者が言っていましたーーー「臆病な人ほど心が冷たい」と。

私はこの言葉の意味が最初分かりませんでした。

でも昨今の新型コロナウィルスの騒動を見て、なるほどなと思うことがあるのです。

臆病な人というのは、恐怖を感じやすい人、怖がりな人という意味です。

実は恐怖心は私たちが生きていく上でなくてはならない感情の一つです。

敵や獰猛な動物との遭遇など、危険を回避する方策の元になるものだからです。

しかしこの恐怖心も過剰になると色々な弊害、他者との軋轢を生み出すのです。

新型コロナウィルスの感染症に関して、人と人との分断や軋轢、差別などが生まれました。

感染を怖がるあまり、感染が拡大している地域から来る人を敬遠したり、

今まで感染者が出なかった岩手県での第1号感染者に対して、罵詈雑言のメールを送ったり、

外出自粛ムードの中、東京から青森県にお盆で帰省した人に誹謗中傷の手紙を玄関に置いたり、

県をまたいでの移動自粛が叫ばれる中、他県ナンバーの車を傷つけたり、

その他、感染拡大防止の社会的要請を無視したり独自の行動をとる人に対して、

自粛警察やマスク警察と呼ばれる人たちが歪んだ正義感で強権的な行動をとったりします。

このような人たちは常に自分を正当化し、他者のいたらない所を強く非難します。

この心理の裏には強い恐怖心があるのです。臆病な自分を隠すために他者に強く当たるのです。

この心の働きを的確に表現した言葉があります。「弱い犬ほどよく吠える」です。

またこのような人たちには強い劣等感があると私は思っています。

他者を強く非難することで優越感にひたり、自分の劣等感を隠すことができるからです。

人を非難する前に、まず自分の心の中を覗き込んだらいかがでしょうか。