気功サロン推薦図書（3）
　　「孤独の科学」
　ジョン・T・カシオポ、ウィリアム・パトリック著

　現代は孤独感をかかえる人が増えていると思います。これは社会的なつながりの希薄さが原因であるようにも思われます。
　以前は会社内やとなり近所でのつきあいなど、人と接する場面がたくさんあったように思いますが、コロナの感染症が流行って以来、会社や大学でもオンラインでつながるようになり、仲間で一杯飲みに行こうなどという機会も減ってしまいました。マンションでは、となりに誰が住んでいるか分からない状況です。
　ただ、本当の孤独はひとりでいることではなく、「大衆の中の孤独」と言って、まわりの多くの人たちがワイワイ楽しんでいる中で、自分だけが仲間外れになっているような感覚の中にあるのではないでしょうか。
　「病は気から」と言われますが、ストレスが病気の大きな要因になっていることは事実です。そして孤独感はこのストレスの大きな要因なのです。
　それでは、この孤独感から抜け出す手はあるのでしょうか。著者は「他者に手を差し伸べること」だと言います。自分に価値を見いだすのは、他の人たちの役に立っているという自意識なのです。それが孤独感から抜け出す鍵になるのでしょう。
　また、いろいろな調査によって、「収入の増加は幸福感の増大には貢献せず、孤独感を減らすこともない」という言葉には、私はとても納得したのでした。