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気功サロン推薦図書(50)

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2023/05/14

気功サロン推薦図書(50)
  「あなたの体は9割が細菌」 アランナ・コリン著

 21世紀病と言われる疾患があります。正確には20世紀の後半から急激に増えてきた病気です。それは花粉症やアトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギー疾患、食物アレルギー、自己免疫疾患、自閉症、そしてこれは一概に病気とは言えないかも知れませんが肥満という社会問題になっているものもあります。
 これらがなぜ急激に増えてきたのかーーーそれに対する有力な仮説に衛生仮説があります。以前このコーナーでも紹介しましたが(藤田紘一郎著の「原始人健康学」)、社会全体が衛生的になったために、コレラや腸チフス、赤痢などの感染症が減ったかわりにアレルギーが増えてきたというのです。実際、回虫などの寄生虫の排泄物がアレルギーを防ぐことが分かっています。日本の場合、戦後まもない頃の不衛生な時には、日本人の5割ほどが体内に回虫を持っていましたが、現代では、そのような人はほとんどいません。
 確かに衛生仮説には納得する点は多くありますが、本書「あなたの体は9割が細菌」で著者のアランナ・コリンは別の仮説を主張しています。それは私たちの腸内にいる細菌(微生物)の生態系が崩れたことが原因だと言うのです。
 人体の小腸、大腸には1000種類、100兆個もの細菌が住み着いています。これらの細菌は腸内での消化、吸収、排泄などの役割を担うほか、ビタミン類の産生にも寄与しているのです。だから、これらの細菌が喜ぶような生活を心がけることが大事なのです。
 昔にくらべ現代の食事は、極端に食物繊維が少なくなっています。食物繊維は野菜類、果物、豆類などに豊富に含まれていますが、この中のオリゴ糖は善玉菌のエサになるのです。
 また、現代は赤ちゃん誕生から幼児までの腸内環境にも問題があるようです。赤ちゃんの腸内環境はお母さんのものを受け継ぐのですが、それは生まれる時、産道を通ることで細菌が引き継がれるのです。また母乳を与えることで、赤ちゃんの腸内環境がバランスのとれたものになっていくのです。
 現代は帝王切開で生まれる子も多く、また人工乳に頼るケースも増えてきています。
 その他、私たち現代人の腸内環境を悪化させているものに抗生物質の投与があります。病原菌を殺す抗生物質は時と場合によっては有益ではありますが、ちょっと具合が悪いからと言って、すぐ抗生物質というのは問題があるのです。それには二つの理由があります。一つは、その抗生物質に適応する耐性菌ができてしまうこと。もう一つは、腸内にいる他の細菌を殺すことになり、腸内環境を悪化させてしまうことです。
 腸内の細菌のバランスをいかに良く保つかーーーこれが現代病と言われるアレルギーを防ぐ良い方法なのかも知れません。

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