医者でもない人が・・・

　整体などを受けた時、施術者から身体の悪い所を指摘されることがあります。

たとえば私たちの背中には兪穴というツボが並んでいます。それぞれの兪穴には臓腑の名前がついていて、同名の臓腑や経絡に障害があると反応を示すと考えられています。したがって、その臓腑の病変の診断点や治療点にもなっているわけです。

　たとえば肝兪は肝臓と直結しているツボであるため、肝兪を指圧した時に異常な痛みを感じたり、そこが硬くなっていたりすると肝臓に問題があるとされるのです。

　しかしだからと言って、施術者が「あなたは肝臓が悪いですね」と言えるのかどうか、私は疑問なのです。

　他の例ではリフレクソロジー（足裏マッサージ）があります。皆様も見たことがあると思いますが、足の裏を人体に見立て、臓器の位置などを示した図があります。そこで心臓を示した部分を押された時、「イタイ！」と叫んだら、施術者が「あなた心臓が悪いね」と言えるのかどうか、ということです。

　医者でもない人が安易に人の悪い所を指摘していいのでしょうか。

　私たちの身体はとても複雑であり、いろいろなネットワークでつながっているのです。さまざまな筋肉も筋膜を通じてのつながりがあるし、ストレスなどの精神的なものも臓器の痛みに影響することがあるのです。

　また権威ある人から「あなたは〇〇が悪い」などと言われたら、そこが気になって、なんとなく悪いような感じがしてしまうでしょう。「病は気から」というように、精神と肉体はつながっているからです。

　病院などで医者が患者に診断をくだす時には、いろいろな検査結果をふまえ、科学的な根拠のもとに診断しているのです。だから医者でもない人が安易に診断してよいのでしょうか。

　私は東京四ツ谷で気功の仕事を生業としています。もちろん医者ではありませんので、常に気を受ける人には軽々しく診断めいた事は言わないよう気をつけて施術しています。