前回私は、気功だけでなく占いや宗教など、目に見えない世界で仕事をしている人間は、

単なる思い込みや感覚に頼ることなく、客観的で科学的な見方をしなければならないと訴えました。

目で見たり触ったりできるものは、実際にその製品を確かめることができますし、

食べ物なども嗅覚や味覚を使って、その品質を確かめることができるのです。

しかし実体のないものは、五感を使って良し悪しを見ることはできません。

だから人を騙したりする危険もはらんでくるのです。

昔、足裏診断という占いで、言葉巧みに高額なツボを売りつけた事件がありました。

今話題の旧統一教会という宗教団体は、霊感商法で信者から多額のお金を巻き上げました。

私は大学時代に原理研究会（旧統一教会の関連組織）に誘われ、集会に何回か参加したことがあります。

当時私は色々な人生哲学の本を読んでいましたので、彼らと何回も議論を闘わせました。

その結果、この組織の考えにはなじめないと思ったのです。

この組織に属している人たちに違和感を感じることがありました。

ある青年は、私は夢の中だと解釈しましたが、トルストイと話をしたと言うのです。

仲間の女性はその話を聞いて、何の疑いもなく感心していました。

その青年はまじめな顔をして、とても嘘をついているようには見えませんでした。

気功では偏差、禅の世界では「魔境に入る」という現象があります。

深い瞑想状態に入ると、天女が出てきたり、お釈迦様と話したりする体験をするのだそうです。

これは禅病といって、一種の妄想なのですが、本人は悟りを開いたと勘違いするのです。

このような錯覚をする人が新興宗教の教祖様になったりするそうですが、

本物になるためには、この状態から脱却しなければならないのです。

気功を仕事にしている私は、思い込みや一方的な見方にならないよう、常に客観的な態度を心がけています。